大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和38(オ)1302 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人伊藤清人の上告理由第一点について。

本件賃貸借は、被上告人のした判示解約申入により、遅くも昭和三四年六月三〇

日の経過をもつて終了した旨の原判決の引用する第一審判決の認定判示を前提とす

るときは、上告人は、昭和三四年七月一日以降既に本件家屋の明渡義務を負つてい

たこと明らかである。また、被上告人は、判示供託金一二五、〇〇〇円を明渡義務

不履行による損害金の趣旨でその還付を受けたのであつて、被上告人には判示解約

申入を撤回(或は放棄)する意思が毫もなかつたものというべきであるとした原判

決認定は、原判決挙示の証拠上、是認し得るものである。されば、被上告人が右供

託金受領により本件賃貸借の解約申入を撤回或は放棄したとの上告人の主張を排斥

した原判決は、正当であつて、これに所論の違法はない。

論旨は、採用できない。

同第二点について。

原判決及びその引用する第一審判決の確定した判示のような被上告人側、上告人

側双方の事情等のもとでは、被上告人の本件賃貸借解約の申入は正当な事由を具備

しているものと解するとした原審の判断は、是認し得られる。原判決に所論の違法

があるものとはなし得ない。

論旨は、要するに、独自の見解に立つて原判決を非難するものであつて、採用で

きない。

同第三点について。

原判決及びその引用する第一審判決が、所論の損害金の請求に関し、証拠により、

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本件建物の判示賃貸借終了当時の約定賃料を確定の上、これを損害金算定の基準と

しているものであることは、判文上、明白であり、上告人は、原審で、右約定賃料

の一部を無効ならしめるようなものとしての、地代家賃統制令による公定賃料につ

き、その算定の基礎たる事実を主張、立証しなかつたのであるから、原審が、右家

屋明渡義務不履行による損害金の算定について、同令による公定賃料を基準とする

ことをしなかつたことに、所論の違法があるとはいえない。

論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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